Sustainability Report 2024

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Sustainability Report 2024

サステナビリティ推進体制

当社は、エネルギーの安定供給とエネルギー・トランジションへの取組みを両輪で推進し、事業やバリューチェーンを通じて気候変動対応をはじめとしたサステナビリティの課題に取り組むことを、サステナビリティ経営の基本的な考え方としています。この考え方のもと、当社及び当社のステークホルダー双方にとって重要度の高いサステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)を中心にサステナビリティ経営を実践しています。

ガバナンス

組織体制

当社のサステナビリティ推進のためのガバナンス体制図は次のとおりです。

1 INPEX Value Assurance System(IVAS)審査会:プロジェクトの価値向上及び推進に関する当社の意思決定に資することを目的とした審査会

監督機能における取締役会

サステナビリティ関連のリスク及び機会の監督機関として、当社の取締役会はサステナビリティ分野のスキルを有しています。詳細は「コーポレート・ガバナンスの取締役会のスキルマトリックス」をご覧ください。また、取締役会メンバーの知見向上の取組みとして、社外有識者による講演・意見交換会を実施し、サステナビリティに関連する世間動向や課題に対する知見を深めています。

業務執行体制

経営会議

サステナビリティを含む業務執行の決定に関しては、意思決定の迅速化の観点から、経営会議を設置し、取締役会の決議事項に属さない事項についての機動的な意思決定を行うとともに、取締役会の意思決定に資するための議論を行っています。経営会議は毎週ないし適宜開催されます。当社の経営会議は、常勤の取締役、本部長である執行役員及び議長が必要と判断し経営会議の決議によって選任された執行役員をもって構成されています。経営会議の議長は代表取締役社長が務めることとしています。

代表取締役社長並びに各部門及び子会社

代表取締役社長は、責任者として、当社を代表し当社のサステナビリティを含む業務を執行します。また、本部長または担当役員である執行役員は、委嘱された特定の部門及び子会社に係る業務を執行します。 委嘱された特定の部門及び子会社に係る各業務執行者は、サステナビリティ関連事項についての各種施策・取組みの進捗を管理し、経営会議に報告しています。

サステナビリティ推進委員会

当社グループの社会的責任を果たし、社会の持続可能な発展に貢献する取組みを推進することを目的としてサステナビリティ推進委員会を設置しています。本委員会は代表取締役社長を委員長とし、代表取締役、総務本部長、経営企画本部長、コンプライアンス委員会委員長、コーポレートHSE委員会委員長から構成され、サステナビリティに関する基本方針、同推進に関する重要事項等を審議しています。また、サステナビリティ推進委員会の下部組織として、各本部の実務者レベルで構成するサステナビリティ推進ワーキンググループ並びに気候変動対応推進ワーキンググループを設置し、全社横断的な協議推進体制を整備しています。

2024年度の取締役会及び経営会議、サステナビリティ推進委員会での決議・審議・報告事項

サステナビリティ推進委員会では整合性の取れた全社的なサステナビリティ経営を継続的かつ計画的に推進するため次に掲げる事項等を議論しています。サステナビリティ推進委員会で議論された内容は、経営会議・取締役会でも決議・報告されています。なお2024年にサステナビリティ推進委員会は2回開催され、全15回開催された取締役会中13回でサステナビリティに関する議論が行われました。

  • サステナビリティ経営の取組み方針の策定
  • 「気候変動対応の基本方針」に基づく「INPEXの取組み」及び「今後の検討課題」の決定
  • 気候変動関連リスク及び機会の評価
  • 当社のマテリアリティ(重要課題)の見直し
  • 人権マネジメント強化のための調査報告
  • 社会貢献活動計画

その他の業務執行に係る委員会

「サステナビリティ推進委員会」の他、各種施策を推進する委員会として、「コンプライアンス委員会」、「コーポレートHSE委員会」、「情報セキュリティ委員会」及び「IVAS審査会」をそれぞれ設置しています。2024年度における各委員会の概要及び活動状況は以下のとおりです。

1 コンプライアンス委員会

グループ全体として一貫したコンプライアンスの取組みを推進することを目的として、コンプライアンス委員会を設置しています。本委員会はコンプライアンス担当役員を委員長とし、常設組織の本部長・担当役員から構成され、コンプライアンスに関わるグループの基本方針やコンプライアンス施策の策定及び実施のモニタリング、年度活動計画の策定、重要事項の決議等、コンプライアンス実践状況を管理しております。2024年度は3回開催しました。さらに、委員会と職場との連携を確保するため、コンプライアンス推進管理者及び推進担当者を各職場に配置しており、コンプライアンス委員会の事務局であるコンプライアンスユニットは、コンプライアンス推進担当者との連絡会を定期的に開催し、コンプライアンス意識の浸透・深化に努めています。

2 コーポレートHSE委員会

当社が定めたHSE1 マネジメントシステム規則に従い、労働安全衛生及び環境への取組みを推進することを目的として、コーポレートHSE委員会を設置しています。HSE委員会で審議された重要事項は、経営会議にて決議、その後取締役会にて決議・報告されます。コーポレートHSE委員会はHSE担当役員を委員長とし、委員は常設組織の本部長・当社役員で構成され、HSEに関わる方針や重要事項を審議します。当事業年度は4回開催され、HSE重点目標や前年度の重大事故・負傷事故の傾向分析、当期上半期HSEパフォーマンスなどが決議・報告されました。本委員会は、当社グループ全体で取り組むべきHSEに係る中期計画、年度重点目標、年度プログラム、HSE監査による実情の把握・評価、及びHSEMSの維持、見直し、改善状況を審議するとともに、HSE担当役員はマネジメントレビューを通して必要な是正、見直し措置を次年度のHSE重点目標、プログラム等へ反映するように諮ります。

2024年に環境管理WGは各事業体で2~3回開催され、TNFD2への対応や廃棄物の処理状況に関する議論が行われました。また、セーフティWGは全社的な安全に関する課題を議論し、安全パフォーマンスの向上を目指すため2025年に設立しました。今後は全社的な課題抽出のため会議やワークショップ開催を予定しています。

1健康(Health)、安全(Safety)、環境(Environment)

2Task Force on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース

3 情報セキュリティ委員会

情報セキュリティの維持・管理及び強化に必要な各種施策の検討及び決定を行うことを目的として、情報セキュリティ委員会を設置しています。本委員会は技術統括本部長を委員長とし、情報セキュリティに関わる基本方針や重要事項を審議し、情報セキュリティに関する事故が発生した場合の対応及び再発防止策等も管理しています。2024年度は2回開催しました。

4 INPEX Value Assurance System(IVAS)審査会

当社が参画する主要なプロジェクトの重要な節目において、その準備状況を確認し、プロジェクトの価値向上及び推進に関する当社の意思決定に資することを目的として、IVAS審査会を設置しています。本審査会は技術統括本部長を審査会長として、新規プロジェクトの取得、既存プロジェクトについても、探鉱、評価、開発等の各フェーズにおける技術的な評価等を組織横断的に行っています。2024年度は20回開催しました。

報酬

当社の代表取締役をはじめ全ての取締役(社外取締役を除く)の報酬においては、2022年に報酬制度を改定し、非財務KPIとしては株式報酬に温室効果ガス排出原単位、賞与に安全指標(重大な事故ゼロ)を採用しています。管理指標の詳細は以下のとおりです。

報酬

賞与のKPI

評価ウェイト

財務指標

当期利益

45%

探鉱前営業キャッシュフロー

45%

非財務指標

安全指標(重大な事故ゼロ)

10%

株式報酬のKPI

評価ウェイト

財務指標

当期利益

30%

探鉱前営業キャッシュフロー

30%

ROE

10%

ROIC

10%

総還元性向

10%

非財務指標

温室効果ガス排出原単位

10%

戦略

当社グループは、「経営理念」を踏まえた「サステナビリティ憲章」を定め、当社及び当社のステークホルダーの双方にとって重要度の高いサステナビリティに関するマテリアリティを特定しています。当社のマテリアリティは環境・社会が当社に与える財務影響及び当社が環境・社会へ与える影響を勘案の上、特定しています。2024年に見直しを行った結果、気候変動対応、セーフティ、人的資本、人権、生物多様性、環境汚染対策を当社のマテリアリティとして選定しました。そのうち、気候変動対応、セーフティ、人的資本は、環境・社会が当社に与える財務影響が重大であることより財務マテリアリティとして選定しています。当社はマテリアリティごとに当社が優先的に行うべき課題について「アクションプラン」を定めた上で、当社の各部署のPDCAサイクルに組み込み、継続的に改善に取り組んでいます。

マテリアリティ選定プロセス

当社のマテリアリティは、環境・社会が当社に与える財務影響及び会社が環境・社会へ与える影響を勘案の上、特定しています。具体的には、当社の財務見通しに影響を与えるサステナビリティ関連の機会とリスクについて、発生可能性及び財務影響の大きさにて評価するとともに、当社の活動が環境・社会に与えるインパクトについても発生可能性及び影響深刻度の大きさにて評価の上、マテリアリティを特定しています。また、候補として選定されたマテリアリティについては、当社の役員・従業員に加えて、投資家、同業他社を対象にアンケート調査を実施しました。その後、選定された財務マテリアリティはサステナビリティ推進委員会・経営会議で決議され、取締役会に報告されています。

マテリアリティの選定プロセスについては、「特集記事2:マテリアリティ」をご覧ください。

INPEXのマテリアリティとアクションプラン

「INPEX Vision 2035」に合わせて以下のマテリアリティとアクションプランを特定しました。

マテリアリティ

マテリアリティ (グラフィック)
アクションプラン

マテリアリティ

アクションプラン

気候変動対応

  • 気候変動対応目標達成の推進
  • 天然ガス/LNG事業の拡大
  • 低炭素ソリューションの取組み
  • 電力事業とその周辺分野での事業展開

セーフティ

  • 重大災害防止
  • 労働安全衛生の確保

人的資本

  • エンゲージメントの強化とDE&Iの推進

人権

  • 人権の尊重
  • 地域社会(先住民)との共生・発展
  • サプライチェーンリスク管理

生物多様性

  • 生物多様性の保全

環境汚染対策

  • 環境汚染対策の取組み

これらのアクションプランは当社のPDCAサイクルに組み込み、継続的に改善がなされるようになっています。また、ガバナンスは、企業の運営や、意思決定、リスク管理に非常に重要な要素であり、強固なガバナンス体制はマテリアリティへの取組みを支え当社の持続可能な成長を実現するための重要な要素として認識しています。

ガバナンス体制の維持・強化のための具体的な取組みとしては、コーポレートガバナンス体制の強化、リスクマネジメント体制の強化法令遵守及び贈収賄・汚職防止の3つのアクションプランを設定しています。

リスク管理および指標と目標

当社は、サステナビリティ関連を含む事業運営に関するリスクを適切に把握・管理するリスク管理体制の継続的な改善に努めています。損害の発生・拡大を未然に防止する体制を確立し、顧客、取引先、投資家などステークホルダーからの信頼の維持・強化を図り、企業価値の最大化を目指します。当社のリスク管理プロセスはガバナンスのリスク管理体制をご覧ください。また個別のリスク管理と指標及び目標については、各マテリアリティパートをご覧ください。