廃棄物の適正処分、循環経済形成への貢献
リサイクルの推進及び適正処分の徹底
当社の各プロジェクト及び事務所等の事業拠点では、廃棄物の発生抑制(リデュース)、再利用(リユース)、再資源化(リサイクル)の3Rを推進し、環境負荷の低減に努めています。
また、活動に伴い発生する廃棄物は、プロジェクト実施国の法令に従い、適切に管理・処理・処分しています。オペレータープロジェクトでは、発生する廃棄物に関する法的要求事項、リスク管理方法、処理・処分方法、監査計画などを含む廃棄物管理計画を作成しています。
発生する廃棄物のうち、自社での再利用が困難な産業廃棄物については、専門の処理業者に委託し、適正に処理・処分し、定期的な処理業者への訪問、視察等を通じ、確認も行っています。
2023年からは各事業拠点で生じる廃棄物に関し、GRI306基準に準拠した分類を導入するとともに、処理委託事業者への訪問、聞き取り調査なども通じ、最終処分までの詳細な廃棄物の処理フロー、処理状況の把握等を図っています。本取組みを通じ、全社的な計測可能な定量目標を設定するとともに、最終処分量の更なる削減や再利用・再資源化を推進し、適正な廃棄物管理に努めています。
廃棄物量は、掘削作業の有無等、各事業拠点の活動内容により大きく変動する特徴があります。事業における廃棄物管理の課題を特定し、再利用や再資源化を含む資源の効率的利用に関する取組みを推進するため、2023年度より、当社事業における定常作業と非定常作業1によって生じる廃棄物に分類し、GRI306の報告分類に従い、それぞれ集計を実施しています。定常作業で発生した約12千トンの廃棄物のうち約10千トンはリカバリーされています。掘削作業で発生したカッティングス約14千トンはリサイクル等の適正な処理を行い、2024年度の最終埋立量は0を達成しています。
また、2024年にはコミットメントの遵守、推進を一層図ることを目的に、全社的に測定可能な定量目標として「掘削屑の最終埋立処分率(1%以下)」及び「通常作業における廃棄物のリカバリー率(70%以上)」を策定し、2024年度においては埋立率0%、リカバリー率83%となり、設定した目標を達成しています。今後も定量目標の達成、維持に向けて、廃棄物管理の更なる改善に努めていきます。
1掘削関連作業等
循環経済(サーキュラーエコノミー)形成への取組み
当社は、従来の廃棄物の適正管理や3Rの更なる推進に加えて、循環経済(サーキュラーエコノミー)形成に取組んでいきます。
油ガス開発における坑井の掘削作業においては、掘削に伴い地質由来の掘削屑が発生します。油ガス開発事業特有の廃棄物とも言えますが、最終処分場における埋立処分とされるケースも多く見受けられます。当社国内事業においては、これら掘削屑の多くは処理委託業者において適正な処理が施され、改良土として、路盤材や埋戻し材などに再利用されています。
海外における循環経済形成への取組み
当社は2019年から、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの探鉱鉱区オンショアブロック4を取得し、探鉱事業に参画しています。本事業では掘削活動によって発生した掘削屑は、セメントメーカーを介したリサイクルを行っています。
このリサイクルプロセスは、共処理(コプロセッシング)と呼ばれ、掘削屑中のミネラル成分は、製品の原料として利用されるとともに、油などの可燃性成分はクリンカー製造過程で熱回収されます。これらの工程を通じて、二次的な廃棄物を発生させずに、年間500トン以上の掘削屑が再利用されました。

JELにおける掘削屑リサイクル
循環経済形成に向けた研究
当社はフレア削減対策の研究・開発の一環として、日本国内でメタン分解技術を応用し、フレアガス中の炭素分を固定化し、大気中へのCO2排出を削減するための取組みの導入について検討を進めています。本技術を通じて生み出される固定炭素はカーボンブラックとして様々な用途が見込まれ、循環経済形成に貢献することが期待されます。
詳しくは、「自社における温室効果ガス削減への取組み」をご覧ください。
2013年から事業化検討を開始したCO2-メタネーションは、2021年度にはNEDO-CO2排出削減・有効利用開発事業(2021–2026年度)に採択され、現在国内初・世界最大級となる400Nm3-CH4/hの断熱型と等温型のハイブリッド試験設備を建設中です。2025年度開始予定の実証実験では、当社長岡鉱場内から回収した二酸化炭素を用いて合成メタンを製造し、製造した合成メタンは当社の都市ガスパイプラインへ注入し需要家に届けられる予定です。実証実験等を通じ確立されるCO2-メタネーション技術が、循環経済形成に貢献することが期待されます。
廃棄物管理に関する教育・訓練
国内の操業現場のスタッフを対象に、適切な廃棄物管理を実践するための教育・訓練を継続的に実施しています。本教育の取組みを通じて、廃棄物管理に関する法規制・制度、産業廃棄物の区分や管理方法、3Rの実践等への理解の向上と取組みの推進を継続的にはかっています。