Sustainability Report 2024

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Sustainability Report 2024

コンプライアンス推進に向けた取組み

コンプライアンス体制

当社は、企業の持続的な発展に必要不可欠なコンプライアンス体制を体系的に整備し、法令遵守・企業倫理の徹底に努めています。具体的には、グループ全体として一貫した取組みを推進するため、コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンスに関わる基本方針や活動計画等の重要事項を審議し、コンプライアンス意識の啓発や違反行為の再発防止策をはじめとする活動内容のモニタリング等を実施しています。

コンプライアンスに関する重大な事案が発生した場合には、コンプライアンス担当役員やコンプライアンス委員会が迅速に対応策を検討、実施する体制を確立しています。コンプライアンス担当役員およびコンプライアンス委員会は、監査役や監査役会、会計監査人、監査ユニット並びに子会社などの相当する機関または部署と連携しながら対応しており、コンプライアンス担当役員は取締役会に定期的かつ適宜報告を行っています。

なお、2024年度にコンプライアンスに関する重大な違反事例はありませんでした。

また、各部署に配置したコンプライアンス推進担当者とコンプライアンスを統括する部署との会合を半期毎に開催するなど、職場全体としてのコンプライアンス活動の拡充・強化に取り組んでいます。

コンプライアンス体制図

コンプライアンス体制図 (グラフィック)

さらに、パース、ジャカルタ、オスロ事務所等との海外拠点との間でコンプライアンス活動の情報共有や意見交換を定期的に実施しているほか、国内の子会社におけるコンプライアンス研修の実施に関する支援を行うなど、グループ間でのコンプライアンス協働強化にも継続して取り組んでいます。

行動基本原則・行動規範の制定

サステナビリティ憲章」の下、業務を遂行する上で例外なくすべての役員・従業員が守るべき 「行動基本原則」、さらにこの原則を実践するための「行動規範」を定めています。さらには、監査ユニットが毎年実施する内部統制評価において「行動規範」の遵守状況、および、逸脱した行為が発見された場合に適時適切な是正が行われるような仕組み・体制の整備状況を確認しています。また、内部監査において「行動規範」に反する行為が発見された場合、監査ユニットは改善指示を行い、当社の各拠点は必要な改善策等を実施しています。

内部通報制度の整備・運用

社内においては、2022年に改正された公益通報者保護法に準拠し、内部通報制度を運用しており、当社グループの役員・従業員からの通報・相談を受け付けています。内部通報窓口として、通報・相談全般を受け付けるヘルプラインに加え、コンプライアンス違反の中でも特に経営に与える影響が重大な贈収賄・汚職、独占禁止法違反、不正な会計処理の3つの分野についての通報・相談に対応するINPEXグローバルホットラインを設置しています。ヘルプラインは社内および社外(弁護士事務所)、INPEXグローバルホットラインは外部委託先に窓口を設け、通報・相談はそれぞれ匿名で行うこともできます。

内部通報への対応

内部通報体制図

内部通報体制図 (グラフィック)

社内窓口のコンプライアンスユニット又は社外窓口の社外弁護士は、「内部通報規則」に従い通報受付日から20日以内に、事実関係の調査を開始する旨又は正当な理由により開始しない旨を連絡しています。調査にあたっては、通報者が不利益な扱いを受けないよう保護を徹底しており、コンプライアンス担当役員は、必要に応じて関係部門の協力を得ながら、調査を行い、ハラスメントをはじめとするコンプライアンス違反が認められた場合には、従業員就業規則に規定されている懲戒処分を含む是正措置や、研修や社内での啓発を含む再発防止策を講じています。さらに、常勤監査役に対し通報内容を速やかに報告するとともに、調査・対応結果を適時に報告することで、内部通報制度がより有効に機能するよう運営しています。

2024年度は内部通報窓口において、社内窓口9件、社外窓口3件の通報・相談がありました。これら通報・相談内容の内訳は、不正な会計処理の疑いに関する通報・相談が1件、人権・差別・ハラスメントの疑いに関する通報・相談が8件、就労に関する通報・相談が1件、その他の通報・相談が2件でした。なお、上記通報の中に、「行動規範」に規定する遵守事項に関して懲戒処分の対象となったコンプライアンス違反はありませんでした。国別の通報・相談件数は、「データ集」に記載しています。

贈収賄・汚職防止(ABC)の取組み

贈収賄・汚職に対する法規制が厳格化する中、当社は、世界約20か国でプロジェクトを展開するグローバルカンパニーとして、贈収賄・汚職に対し、「Zero-tolerance(一切許容しない)」のポリシーを貫くことが重要と考えており、当社共通の価値観であるINPEXバリューの一つ「Integrity(誠実)」に基づき、常に高い倫理観を持って行動するよう全ての役員・従業員に求めています。人事評価においても、当社職務行動評価のベースとなるコンピテンシーの中にバリューの要素を組み込んでいます。

贈収賄・汚職防止(ABC:Anti-Bribery and Anti-Corruption)に関して、「行動基本原則」および「行動規範」において、政治、行政との健全かつ正常な関係の構築(関係諸法令で認められる場合を除いた政治寄附やファシリテーションペイメントの禁止)や、関係各国のABC関連法令の遵守を定めています。また、2011年から国連グローバル・コンパクトに参加し、腐敗防止へのコミットメントを表明しています。

さらにABC体制を強化するため、社内規程類としてABCポリシー・手続要領を策定しているほか、ABCに関する当社の姿勢を包括的に明示するため、2019年に「INPEXグループ グローバル贈収賄・汚職防止方針」を策定の上、ウェブサイト上に公表しています。

これらに基づき、贈答や接待の授受、寄付をはじめとする社会貢献の際のルールを整備しています。さらにコントラクターやエージェント等を含む新規のビジネスパートナー等との取引時には、ABCリスクの高さに応じ、適切かつ必要なデューディリジェンスなどを実施しているほか、各契約書においてABC順守に関する条項を明記しています。なお、2024年度に国内で実施したデューディリジェンスは、計140件でした。

また、2015年度から、国内外におけるリスク評価を定期的に実施し、これらの結果を受けた改善策を実行しており、リスクベース・アプローチに基づいたABC体制の整備と運用の強化に努めています。2024年度のリスク評価の実施状況として、日本国内においては、アブダビ事業本部(現 欧州・中東事業本部)および子会社7社、海外においては、アブダビで事業を行う子会社4社を対象に実施しました。いずれの拠点においても、ABCに関する重大な違反やリスクは特定されませんでした。

EITIを通じた透明性向上の取組み

当社は、2012年度から、石油・天然ガス・鉱物資源の採取産業から資源産出国政府への資金の流れの透明性を改善し、健全性を向上することを目的とした多国間協力の枠組みであるEITI に参加し、その取組みを支援しています。2025年3月時点で、55の資源国、日本を含む多数の支援国、採取産業企業やNGOが参加しており、当社のプロジェクト実施国のうち、EITI 参加国について関連するデータを提供しています。

コンプライアンス教育の推進

当社の一人一人がコンプライアンスの意識を高め、日々の業務に活かすことを目的に、全従業員を対象として、ハラスメントや差別の防止を含む、業務テーマ別、階層別の研修を定期的に実施しており、過去の当社グループの事案の紹介を交えた啓発を行っています。2024年度に当社において実施した主な研修は以下のとおりです。また、国別の研修実績は、「データ集>Governance (ガバナンス) 」に記載しています。

コンプライアンス・プログラム

研修名

対象者

テーマ

新入社員・中途社員向けコンプライアンス研修

新入社員、および中途入社の社員 

ハラスメント防止・ABC等コンプライアンス全般

階層別研修

1~3年目社員、および新任幹部社員・管理職

過去事例を用いたハラスメント防止の啓発等

幹部社員向けコンプライアンス研修

本社・技術研究所に在籍の幹部社員

①ハラスメント防止、②企業不正防止

役員向けコンプライアンス研修

社長/執行役員/常勤監査役 

①ダイバーシティ/差別、②不適切発言と責任

公益通報対応業務従事者研修

本社の内部通報業務従事者

改正公益通報者保護法の概要や実務上の留意点等

子会社向け通報対応実務研修

子会社の内部通報窓口担当者

内部通報・違反事案発生時の実務対応 

下請法説明会

下請事業者と取引実務が発生するINPEXグループの従業員

下請法の概要・実務対応

ABC研修

国内で事業を行う子会社7社、アブダビで事業を行う子会社4社の役員・従業員

ABCポリシー・手続要領等の当社のABCルール