Sustainability Report 2024

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Sustainability Report 2024

エネルギー・トランジション

当社は、2050年ネットゼロに向けて、CCS水素をコアとした低炭素化ソリューションや電力事業およびその周辺分野での事業展開にむけた新たな取組みを推進しています。

CCS/水素

ネットゼロへの移行には、地域ごとの事情や移行の段階に応じて適切な手段を選択することが重要であり、再生可能エネルギーの導入だけでなく、既存の石油ガス施設へのCCS導入や、水素/アンモニアを活用していくことなども、現実的な移行への道筋となると考えています。当社はエネルギー企業として石油・天然ガスの安定供給の強化を図るとともに、2050年ネットゼロを実現するために、地下資源開発で培った当社の技術と豊富な経験を結集し温室効果ガス削減の手段を提供することで、社会のニーズに答えることが可能になるため、CCS/水素事業は当社にとって重要な事業と考えています。

CCS/水素事業推進のため、INPEXは「INPEX Vision 2035」の中で2035年を目標に当社が参画する天然ガス/LNGプロジェクトとCCSの組み合わせによるGHG排出削減を行うことに加え、第三者に対してのCCS/水素をコアとしたGHG削減ソリューションの提供による新たな収益源の創出を目標に掲げています。

目標達成への具体的な取組みとして、CCS事業では、オーストラリアのGHGアセスメント鉱区で貯留層の評価や新規3D震探収録・処理作業を実施し、実用化に向けた研究を進めています。国内においてはJOGMECによる令和5年度「先進的CCS事業の実施に係る調査」委託事業において、当社が関与する「首都圏CCS事業」と「日本海側東北地方CCS事業」が採択され、実施を完了、続く令和6年度「先進的CCS事業に係る設計作業等」の委託事業においても、「首都圏CCS事業」および「日本海側東北地方CCS」が採択され、各種事業の計画・検討をすすめています。

また、水素・アンモニア事業では国内における新潟県柏崎市での一貫体制を確立した水素・アンモニア製造・利用実証の地上設備建設を計画通り進めています。さらに、同県における当社天然ガス田および既存インフラを活用したブルー水素製造事業については、フィージビリティスタディ(事業可能性検討)を完了し、商用化に向けた基本設計準備を開始しました。

米国では、エア・リキードグループ、LSB Industries、Vopak Exolum Houstonと共にテキサス州ヒューストン港における大規模低炭素アンモニア事業の初期設計を完了しました。さらに、Green Hydrogen International(GHI)社と米国テキサス州南部におけるグリーン水素事業の共同スタディ契約を締結し、フィージビリティスタディを完了しました。

今後もクリーンエネルギーとGHG削減ソリューションの提供を事業上のビジネスチャンスとしてとらえ、ネットゼロ社会への移行に向けて取り組みます。

タンクとサイロが立ち並ぶブルーアンモニアドックのある夜の工業地帯。
ヒューストン港ブルーアンモニア事業
さまざまな構造を持つ産業施設と、建設中の水素・アンモニア製造・利用実証の建物。
柏崎市での水素・アンモニア製造・利用実証(平井ブルー水素)

再生可能エネルギー・電力ソリューション事業

PLNインドネシア電力との地熱共同研究に関する覚書調印式に出席したINPEX役員。
地熱共同調査に関するPLN IPとの基本合意書調印式の様子

電力事業の主要な取組みである再生可能エネルギーは、技術的な強みのある分野かつコアエリアを中心に継続し収益改善・拡大に取組む予定です。また、再生可能エネルギーと調整電源(蓄電池/ガス火力発電)の組み合わせを最適化し、発電アセット全体の価値最大化に取組みます。

2024年度の取組みとしては、2024年5月に、オーストラリアにおいてPotentia Energy社を通じたQuorn Park太陽光・蓄電池事業の最終意思決定を行いました。2026年の商業操業開始に向けて建設中です。また、2024年6月および7月には国内の2か所(岐阜県高山市奥飛騨温泉郷、北海道標津郡標津町)において、地熱発電事業に関する資源調査掘削に向けた作業を開始しました。加えて、同年12月にはPT PLN Indonesia Powerとのインドネシアにおける地熱共同調査における基本合意書を締結し、同国における継続的な地熱開発の推進に取り組んでいます。

PLNインドネシア電力との地熱共同研究に関する覚書調印式に出席したINPEX役員。
地熱共同調査に関するPLN IPとの基本合意書調印式の様子

当社では欧州における洋上風力発電や、インドネシアの地熱発電、オーストラリアでの太陽光・陸上風力発電を含め国内外で600MWを超える持ち分容量の再生可能エネルギー電源を保有します。今後は電力バリューチェーン全体で収益を獲得するべく、安定した電源ポートフォリオ確立、電力ソリューションの取り組みによる高付加価値化や当社既存事業(ガス、水素アンモニア、CCS等)とのシナジー創出に向けて取組みを進め、2050年のネットゼロ達成へ貢献します。