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FY2022

Sustainability Report 2022 (for FY2021)

Sustainability Report 2022 (for FY2021)

安全及び健康管理

基本的な考え方

職場で働く誰もが皆、負傷したり疾病にかかることなく無事に家に帰ること、これが当社の安全及び健康管理の基本です。当社では、従業員の心身の健康が会社の基盤であると認識し、健康増進や安全な職場づくりに取り組んでいます。当社は、プロジェクトに関わる従業員やコントラクターの安全を最重要課題と捉え、HSEMSの運用を通じて労働安全衛生リスクの管理を実施しています。

特に当社が事業を行うに当たり、死亡事故、重大漏えい、重篤負傷などは、絶対に起こしてはならない重大な事故であり、「重大な事故ゼロ」を経営目標の一つとして、全従業員共通の安全目標を定めています。

事故を未然に防ぐ取組み 安全パフォーマンスを数値化するために、労働安全の特に負傷事故に対する指標である休業災害発生率LTIR6と労働災害発生率TRIR7についてモニタリングを実施しています。2021年度のLTIRとTRIRの結果はLTIRが0.38、TRIRが2.90となり、前年度よりも上昇しました。原因としては、海外オペレータープロジェクトにおいて大規模修繕などの非定常作業が増加したことにより、軽微な負傷事故が若干増加したことが挙げられます。

事故を未然に防ぐ取組みとして、これまでと同様、事故速報を速やかに社内へ水平展開し、事故からの教訓を周知することを徹底するとともに、重大な事故や負傷事故に対しての発生傾向を分析し、継続的に情報共有を実施しています。また、事故管理に係る安全先行指標である「事故調査の実施状況」、「優先度が高いとされた是正措置の実施状況」のモニタリングを実施し、事故発生後の迅速な調査や是正対応を強化しています。さらに、死亡リスクが高い作業を安全に行うための原則「ライフセービングルール」を定着させることにより、重大な事故を防止するべく取り組んでいます。

6 Lost Time Injury Rate:百万労働時間当たりの死亡災害と休業災害の発生率

7 Total Recordable Injury Rate:百万労働時間当たりの死亡災害、休業災害、不休災害及び医療処置を要する労働災害の発生率

事故を未然に防ぐ取組み

Tier1、Tier2事故は可燃性流体などの物質の予期しない放出又は漏洩である。IOGPの要求事項に従い、実際の事故の影響(人への被害、会社への損害額、放出物質の種類や漏洩量など)に応じてTier1やTier2に区分し報告している

ライフセービングルール

ライフセービングルール(Life Saving Rules)とは、死亡事故が発生するようなリスクの高い作業において、事故を未然に防ぐためにとるべき行動を示した人命を守るためのルールです。危険度の高い9つの作業に絞った安全ルールが簡単に理解しやすく定められており、作業員が直ちに実施できる内容となっています。

ライフセービングルールの遵守は、当社事業のために働く全ての従業員やコントラクターの義務とし、もし誰かがルールを遵守していないことを見つけた場合には、その人に対して介入することが求められています。

現場におけるライフセービングルールの遵守を通じて、関係者全員が不安全行動や不安全状態に積極的に関与し、介入する安全文化を醸成し、全社的な労働災害の未然防止を促進しています。

ライフセービングルール

安全制御機能のバイパス

閉所作業

車両運転

エネルギー遮断

火気作業

LOF(ライフオブファイア

リフティング作業

作業許可

高所作業

イクシスLNGプロジェクト
ドローンを活用した設備点検の実施

2021年、イクシスLNGプロジェクトでは、ダーウィンのLNG基地において、初めての大規模な定期点検が行われました。ライフセービングルールの一つである「閉所作業」のHSEリスクを回避するために、代替手段としてドローンが活用され、点検のために作業員が閉所に入る必要性をなくし、設備点検時の事故の未然防止につなげています。

イクシスLNGプロジェクトの洋上施設で使用されたドローン

LNG基地の定期点検では、ガス配管、熱交換器などの内部点検を実施しました。ガス配管内の点検では、配管内に異物や損傷が存在しないことを注意深く確認しました。また、熱交換器の点検では、設備内の熱電対の位置や状態を調査しました。

ドラム内や配管内といった閉所は、酸素濃度の低下、可燃性物質の残存、固形物や液体の流入といったリスクがあります。今回、閉所内の点検にドローンを活用したことで、閉所空間での作業員の立ち入りを回避することができました。ドローンの操作も複雑ではなく、作業員の立ち入りの際に発生した足場の組み立てや解体に要する時間も短縮することができました。

ドローンは、足場を組む前の初期損傷評価検査や高所に設置されたタンクのガス検知作業、さらには洋上設備のフレア設備の点検など、イクシスLNGプロジェクトで幅広く使用されました。今後は、洋上施設の船殻やタレットの点検にも活用していくべく、試験運用が進められています。

ドローンを使用した設備内点検の様子

HSEフォーラム(安全衛生セッション)

当社では、国内外のオペレーションを含めたグループ全体のHSEパフォーマンスの向上を図るべく社内のベストプラクティスや教訓・経験を共有することを目的として、HSEフォーラムを2016年より毎年開催しています。

安全衛生セッションでは、これまでHSEリーダーシップ及び文化の醸成、事故分析、建設プロジェクトにおけるHSE教訓、コントラクターのHSE管理、コミュニケーションの改善、KPIの設定、コロナ禍におけるHSE管理など、多様なテーマについて議論を重ねてきました。

2021年には、国内外の安全衛生管理担当者など、計61名が参加し、「健康管理」、「事故管理」、「HSEマネジメントシステム」の3つのテーマにて議論を行いました。国内外のプロジェクトから、各組織における安全衛生活動の実施状況、検討すべき課題、さらに今後の活動計画などが発表されました。また、全参加者によるワークショップでは、全社的に取り組むべき課題を洗い出し、優先順位を定め、それらの対応方針を協議し、具体的なアクションプランが提案されました。これらの成果は、2021年11月のHSE会議で議論され、当社の更なる安全衛生パフォーマンス向上に活用しています。

従業員の健康管理及び感染症対策の強化

2020年からの長引く新型コロナウイルス感染拡大を受け、2021年は、 従業員の健康管理及び感染症対策の強化を講じました。基本的な出勤前の体温測定や共用施設・机などの定期消毒、室内換気などの従来の感染予防対策に加え、コロナ禍での新形態での生活による 従業員の健康リスクを守るため、本社におけるフリーアドレス制の導入やフレキシブルな勤務形態などによる物理的な感染リスク低減策を実施しています。また、在宅勤務拡大によるメンタルヘルス対応として、 従業員のストレスレベルの定期確認や専門家によるフォローの実施、トップマネジメントを含むグループ全体でのメンタルヘルス対策強化案の検討やベストプラクティスの展開など、コロナ禍においても社員一人ひとりの心身の健康保持に努めています。

また、新型コロナウイルスワクチンの職域接種においては、 従業員やそのご家族、関係会社の方々が迅速に安心してワクチンを接種できるように、国内3か所に職域接種会場を設置し、運営しました。

また、 従業員の健康リスクをより確実に低減し、健康増進を図るべく、コーポレート健康管理要領を改定しました。この要領は、当社の健康管理に関する基盤活動を網羅的に定めたもので、各職場における健康リスクの把握とその対策、疲労管理やメンタルヘルス、感染症対策など、当社事業に従事する要員の心と身体の健康を守る会社としての最低限の要求事項を海外のベストプラクティスなどを踏まえて定めました。

2022年度は、コーポレート健康管理の運用を定着させて各職場の健康管理を更に向上させるとともに、新型コロナウイルス対策の経験を活用した感染症ガイドラインを策定し、健康管理・感染症対策の更なる強化に取り組んでいきます。