Sustainability Report 2022

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Sustainability Report 2022

先住民との関わり

先住民社会との協調活動計画(RAP)

オーストラリアでは、当社の「先住民社会との協調活動計画(RAP: Reconciliation Action Plan)」に基づき、地域の先住民を尊重し、互いに有益で持続性のある信頼関係を築くための活動を心掛けています。

RAPでは、当社の事業エリアにおける先住民との関係構築を促進するための具体的な取組み案を策定しており、2期目となる「INPEX Stretch RAP 2019-2022」1に基づいた取組みは2022年末で終了し、3期目となる「INPEX Stretch RAP 2023-2025」2を2023年頭に発表しました。

RAPの実行については、当社の上級管理職で構成されるRAP Steering Committeeが定期的にモニタリングをしており、その成果を毎年公表しています3

1 INPEX Stretch Reconciliation Action Plan(RAP)2019-2022

2 INPEX Stretch Reconciliation Action Plan (RAP) 2023-2025

3 Reconciliation Action Plan Report 2022

ケーススタディ:RAPで掲げたコミットメントを達成

「INPEX Stretch Reconciliation Action Plan(RAP)2019-2022」は、当社のサステナビリティ憲章、そして事業を展開する地域のアボリジニおよびトレス海峡諸島民コミュニティと互いに有益で持続的な信頼関係を築くというビジョンの下、策定されました。

RAPで掲げた取り組みについては、RAP諮問委員会とRAPワーキンググループによってダーウィン、キンバリー、パースなど当社にとっての主要なコミュニティで推し進められています。

「INPEX Stretch RAP 2019-2022」における主な成果は以下の通りです。

  • アボリジニおよびトレス海峡諸島民から選ばれる会社へ。アボリジニおよびトレス海峡諸島民の直接雇用者が、RAPで掲げた36名よりも多い49名に増加。
  • 当社の請負業者を通じて、平均約100人のアボリジニおよびトレス海峡諸島民を雇用し、毎年平均60人という目標を上回る。
  • 1300万豪ドル以上相当の作業に関して、アボリジニおよびトレス海峡諸島民が経営する23の企業へ発注。本RAP期間中に12企業、合計100万豪ドルを発注という目標を上回る。
  • 2021年と2022年に、従業員に対してRAPエンゲージメント調査を実施。RAPへの意識向上と一層の理解、他の文化活動への関心という点で貴重なフィードバックを提供した。
  • 洋上施設を含むオーストラリア内の全事業所において、全国週間とNAIDOC活動を通じて従業員のエンゲージメントを向上させる。

RAP 2023-2025では、前期のRAPを踏まえて、アボリジニやトレス海峡諸島民のコミュニティと協力して協調活動取組みを進めるための新しい目標を設定しています。

2022年、イクシスLNGプロジェクトの陸上プラントにおける船着き場を、ララキア語を使った名称「Madla Wharf Ichthys」に改称した際の、INPEXララキア諮問委員会のメンバーとララキア関係者

雇用及び調達機会の創出

当社は、事業活動を通じ、先住民や地元住民が長期にわたり持続可能な形で経済活動に参加できるよう促す取組みを行っています。先住民の参加を妨げることのないよう、人事や調達契約プロセスの見直しを定期的に行い、先住民の雇用及び調達契約の機会提供を事業の一環として取り入れています。

オーストラリアにおいては、先住民のための当社独自の「Solid Pathwaysプログラム」を通じ、石油ガス産業におけるキャリア育成を促すための研修、雇用機会を提供しています。プログラム参加者は、当社における長期直接雇用に向け、12〜18か月の実地訓練及び外部研修を受けます。2022年度末時点で、17名の先住民がこのプログラムを通じ当社に採用されています。

Solid Pathwaysプログラムは、INPEXのストレッチRAP 2019-2022に含まれる重要な成果物であり、INPEXが2022年12月末までに49名の先住民を雇用し、RAPにおける雇用目標の36名(オーストラリアに拠点を置く労働者全体の3%)を超えることに大きく貢献しました。

新しい「ストレッチRAP 2023-2025」では、先住民の直接雇用を増やす努力を続け、この3年間でオーストラリアに拠点を置く従業員の5%に当たる60人の直接雇用を新たに目標として掲げています。同期間に、Solid Pathwaysプログラムのポジションを組織全体で10件維持し、新たな参加者を採用します。また、先住民の従業員を維持・育成するための取り組みにも注力します。

また、ストレッチRAP 2019-2022で設定した主要なビジネス・エンゲージメントの目標も同様に超過達成しました。したがって、ストレッチRAP 2023-2025では、INPEXまたはそのビジネスパートナーによりエンゲージする先住民経営の企業数を24社に拡大し、3年間の調達額を1,500万豪ドルにすることをコミットしました。

「Solid Pathwaysプログラム」参加者らの活動の様子

文化遺産の保護

オーストラリアでは、当社が事業活動を行う地域において、文化遺産を適切に保護するための文化遺産管理計画を策定し、実行しています。ララキア族の土地や海の文化遺産については、さまざまな専門を持つララキア族のグループからなるINPEXララキア・アドバイザリー・コミッティと相談を行い、助言を得ています。

また、オーストラリアでは、先住民の文化遺産保護に長い間取り組んできており、当社は北部準州において、施設建設前の初期段階でララキアの文化遺産保護監査員を導入した最初の企業となりました。考古学調査の期間においては、先住民の遺産が陸上施設計画地の内外で特定されました。現在のINPEXララキア・アドバイザリー・コミッティの前身となるララキア文化遺産管理委員会及び北部準州政府の文化遺産管理部と協議の上、文化的に重要な場所や文化遺産の一部はその場所に残し、その他のものについてはイクシスLNGプロジェクトの陸上施設の近辺に位置するヘリテージヒルに移設し、保護することとしました。

現在は、ララキア所有の企業にヘリテージヒルの管理を委託しており、必要に応じ、ララキアの文化遺産保護監査員を採用した上で、この場所の保護を行っています。